父は大の本好きで、どこへ行くにも本を持っていき、電車の中でも車の中でも時間があれば本を読む人です。幼い頃の私は、「乗り物にのってあんなにずっと読んでて、よく酔わないなあ」と思っていました。
生き物が好きだった私は、図鑑が大好きでした。今でも図書館で面白そうな図鑑を見つけると、うれしくなって、どんなに重たくても借りてしまいます。
大人になって物語やエッセイも好きになり、さらに酒屋を手伝うようになってからは、お酒や食べることに関する本を読むようになりました。
読めばお酒がもっと美味しくなるような、食べることがもっと楽しくなるような、素敵な本を紹介していけたらと思っています。
「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」
村上春樹著
小説家というよりも、ただただウイスキーが美味しい、ウイスキーが大好きだという気持ちで満たされている村上さんの、喜びにあふれたワクワクした感覚。まるでいっしょに蒸溜所を旅しているような楽しいエッセイでした。
「日本のワインで奇跡を起こす」
三澤茂計・三澤彩奈著
日本生まれのぶどう「甲州」を世界の舞台に引き上げた日本ワインのパイオニア的存在のワイナリー、グレイスワインのお二人が出版されが本。揺るぎない信念の土台には、「ふるさとで家族や仲間と一緒に過ごす ささやかな幸せを大切にしたい」という、とてもシンプルであたたかな想いがあったのだと、この本を読んで気づきました。
「シングルモルト蒸溜所紀行」
山田健著
また一度もウイスキーを飲んだことがなかった頃、表紙に広がるピンク色の花の丘の風景に惹かれて手にとった本です。花の正体は、スコッチの特徴的な香りを生む「ピート」となる植物の一種でヒースという花でした。ウイスキーが生まれる土地の様々な匂いを感じる本。
「蔵元の娘と楽しむ日本酒入門」
喜多麻優子著
もろみが生きていると感じる瞬間のこと、蔵の中で感じる神聖な空気感。麻優子さんが蔵人として肌で感じられたことがそのままギュッとこの一冊に詰まっていて、読み進めるたびに、初めて酒蔵を見学させていただいたときに味わった、空気や温度、質感、香り、蔵人さんたちの姿、景色が、新鮮な感覚でよみがえりました。
「旅とデザイン ウイスキーから人 空間構想へ」
中崎宣弘著
サントリーのワインやお酒のパッケージデザインや、山崎蒸溜所の空間デザインを手掛けた中崎さんの仕事集。いろんな人の心に響く心地よさとはどういうものなのか、アイディアや考え方が、何気ない言葉やデッサンに残されています。